「乗ってはいけない航空会社」を探すと、刺激的なランキング記事がたくさん出てきます。
しかし安全性は、会社名だけで断定するより「公的な運航禁止・制限」「監督当局の評価」「運航会社の透明性」を見た方が納得感があります。
本記事では、日本の旅行者が使える“確認できるリスト”と、予約前にできるチェック手順を整理しました。
最後にそのまま使えるチェック表も載せるので、迷ったときの判断材料にしてください。
乗ってはいけない航空会社リストが気になる理由と、日本で通用する判断軸
「乗ってはいけない航空会社リスト」を求める背景には、事故のニュースやSNSの不安が重なりやすい事情があります。
一方で、ネット上の“危険ランキング”は根拠が混ざりやすく、読み手の不安を煽る構造になりがちです。
日本で現実的に使えるのは、国際的に公開されている運航禁止・制限の情報や、安全監査の登録状況です。
ここでは「何を見れば、どこまで分かるのか」を先に押さえて、ブレない判断軸を作ります。
「危険ランキング」が当てにならない3つの理由
第一に、評価基準が不明なまま“印象”で並べているケースが少なくありません。
第二に、事故やトラブルは「機材」「路線」「運航会社」「時代」で条件が変わり、単純比較が難しいです。
第三に、最新の改善状況が反映されず、過去の情報だけで断罪されていることがあります。
だからこそ、更新され続ける公的リストや監査情報をベースにする方が、誤解や偏りを減らせます。
日本の空港に就航する外国航空会社は何で担保されている?
日本に乗り入れる外国航空機は、登録国の監督が原則ですが、受け入れ国として日本側の安全確認も行われます。
代表的なのが、国土交通省による外国航空機への立入検査(ランプ・インスペクション)です。
書類(ライセンスや耐空証明)や外観・装備などを確認し、問題があれば相手国当局へ通知する枠組みがあります。
つまり「日本に来ている=無条件で安全」という意味ではないものの、一定の監視が働く環境にあることは押さえておきましょう。
EUの航空安全リストで分かる「運航禁止・制限」
世界で最も参照される“公開ブラックリスト”の一つが、EUの航空安全リストです。
このリストは「EU域内で運航禁止(Annex A)」と「条件付きで制限(Annex B)」の2種類で構成されます。
重要なのは、特定の会社だけでなく「国の監督体制」ごと対象になる場合がある点です。
日本発の旅でも、乗継先や地方路線で対象会社に当たる可能性があるため、確認先として覚えておく価値があります。
FAAのIASAは「航空会社」ではなく「国の監督力」を見る
米国FAAのIASAは、航空会社の点数づけではなく、各国の民間航空当局がICAO基準を満たす監督をできているかを評価します。
評価が低い国(カテゴリー2など)だと、その国の航空会社は米国での運航拡大やコードシェアに制限がかかることがあります。
つまり、会社名だけで判断するより「その会社を監督する国の仕組み」を見られるのが強みです。
日本で航空券を選ぶときも、乗継先の国の監督評価を“補助線”として使うと判断が安定します。
IATAのIOSA登録は“あると安心”だが万能ではない
IOSAはIATAが運用する国際的な運航安全監査で、登録されている航空会社は一定の監査基準を満たしたことを示します。
ただしIOSAは任意で、登録がない=危険と断定できるわけではありません。
一方で、選択肢が複数ある場面では「IOSA登録があるか」を安心材料として使えます。
EUの運航禁止・制限情報と組み合わせると、“噂”ではなく“確認できる事実”で比較しやすくなります。
ICAOの安全監督監査で「国の仕組み」を補助的に確認
ICAOは各国の安全監督体制を監査する仕組み(USOAP)を持ち、制度面の成熟度を確認する材料になります。
ここで分かるのは「事故の多い少ない」よりも、「安全を担保する制度が機能しているか」という側面です。
IASAと同様、国レベルの評価なので、航空会社個別の判断を“補助”する位置づけが現実的です。
乗継で初めて使う国の航空会社を選ぶときほど、この視点が役に立ちます。
コードシェア便は“販売会社”と“運航会社”が違うので要注意
航空券の表示が大手航空会社でも、実際の運航は提携先が担当するコードシェア便があります。
この場合、機材・乗務員・機内サービス・手荷物ルールの一部が運航会社基準になることがあります。
予約画面の「運航会社(operated by)」を必ず確認し、気になる場合は運航会社名で公的リストを再チェックしましょう。
日本の公式サイトでも、予約時に運航会社を案内する旨が明記されているので、見落としを減らせます。
| 確認先(リスト/監査) | 何が分かる | 旅行者にとっての使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| EUの航空安全リスト | 運航禁止・制限の対象 | 「避ける根拠」が最も明確 | 最新版か確認が必要 |
| FAA IASA | 国の監督体制の評価 | 乗継国の“制度”を補助的に確認 | 航空会社個別の点数ではない |
| IATA IOSA | 航空会社の監査登録 | 複数候補の比較材料 | 任意のため未登録でも一概に判断不可 |
| ICAO USOAP | 国の安全監督の実施状況 | 初めて使う国の補助線 | 個社の安全度そのものではない |
日本の旅行者向け:避けたい条件リスト(会社名ではなく“状態”で判断)
「乗ってはいけない」を会社名で決めると、情報の古さや偏りに引きずられがちです。
そこで日本の旅行者は、航空会社そのものより“避けたい状態”を条件として持つと失敗が減ります。
条件は公的リストや予約情報で確認できるものに絞るのがコツです。
ここでは、判断に迷ったときに機械的に使える条件リストを用意します。
条件1:運航禁止・制限の対象になっている
最も強いシグナルは、運航禁止や制限が公的に出ていることです。
EUの航空安全リストのように、具体的な措置が公開されている情報は判断材料として優先度が高いです。
代替便があるなら、まずは対象外の航空会社・便に切り替えるのが無難です。
どうしても必要なら、機材のウェットリース(他社機材)など例外条件がないかまで確認してから判断します。
条件2:監督当局の評価が低い(国の監督力に不安がある)
国レベルの監督力が弱い場合、個別の航空会社がどれだけ努力しても“底上げ”が難しいことがあります。
IASAやUSOAPのような枠組みは、制度の強さを把握する補助線になります。
この条件に当てはまる国の航空会社を使うなら、直行便よりも大手との提携便や主要ハブ経由に寄せると安心材料が増えます。
不安が残る場合は、同区間で別の監督圏(別国の会社)に切り替えるのが現実的です。
条件3:運航会社・機材の情報が不透明(予約画面で確認できない)
予約サイトで運航会社名や「operated by」が分かりにくい場合は、まずそれ自体が注意サインです。
運航会社が分からないと、公的リストや監査登録で照合できず、判断ができません。
この場合は、航空会社公式サイトや大手OTAで同便を検索し、運航会社が明記される経路で購入しましょう。
情報が出ないまま購入するのは避け、透明性の高い販売元を選ぶだけでもリスクは下げられます。
条件4:チャーター・ウェットリース・乗継が複雑で責任範囲が曖昧
チャーター便やウェットリースは、運航主体が通常便と違う形で組まれることがあります。
複数区間の乗継で別会社が混在すると、遅延時の振替や補償の責任が分かれやすいです。
安全面だけでなく、トラブル時の“詰み”を避けるために、責任範囲が明確な旅程に寄せるのがコツです。
安さだけで選ばず、同一会社通し券や、乗継保証のある組み合わせを優先しましょう。
| 避けたい条件(状態) | 予約前に見る場所 | 当てはまった時の行動 |
|---|---|---|
| 運航禁止・制限の対象 | EU航空安全リスト | 代替便へ変更(最優先) |
| 国の監督力に不安 | IASA / USOAP | 監督圏の違う会社に切替 |
| 運航会社が不明瞭 | 予約画面の運航会社表示 | 購入先を変えて再確認 |
| 責任範囲が複雑 | 旅程詳細・運送約款 | 乗継保証/同一券種へ |
公的情報で作るチェック手順:検索→予約→搭乗まで
ここからは「何を、どの順で見ればいいか」を手順化します。
慣れてくると、検索から購入まで5分程度で一通り確認できます。
ポイントは、最初に“運航会社名”を確定させることです。
運航会社が確定すれば、公的リストや監査登録と照合して判断できます。
ステップ1:まず「運航会社名」を確定させる
検索結果で表示される航空会社名が、そのまま運航会社とは限りません。
便名の横に「共同運航」「operated by」が出ていないかを確認します。
出ている場合は、実際の運航会社名をメモし、その会社名で次のステップへ進みます。
この一手間で、コードシェアの見落としによる判断ミスが大幅に減ります。
ステップ2:EUの運航禁止・制限に該当しないか確認する
運航会社が分かったら、EUの航空安全リストで該当がないか確認します。
禁止(Annex A)なのか、条件付き制限(Annex B)なのかで意味合いが変わります。
該当する場合は、同区間の別会社へ切り替えるのが最も分かりやすい回避策です。
該当しない場合も、次の監査・監督情報で“補強”していきます。
ステップ3:監督当局(国)の評価で“制度面”を補助的に見る
次に、IASAやUSOAPで、その国の安全監督体制がどう評価されているかを確認します。
ここは「個社の良し悪し」ではなく「制度の強さ」なので、参考度は補助線くらいが適切です。
ただ、初めて使う国の航空会社や、乗継が多い旅程ほど、この補助線が効いてきます。
不安が残るなら、監督圏の違う航空会社へ変える判断がしやすくなります。
ステップ4:IOSA登録など“運航会社の透明性”で最後に比較する
最後の比較材料として、IOSA登録の有無などを確認します。
登録がある会社が候補にいるなら、同価格帯では安心材料になります。
ただし未登録=危険ではないため、EUの禁止・制限や運航会社の不透明さほど強い材料ではありません。
あくまで「複数候補で迷ったときの最後の一押し」として扱うとバランスが取れます。
日本発の航空券で失敗しない:遅延・欠航・補償まで含めた選び方
“安全かどうか”だけで便を選ぶと、結局は遅延や欠航でストレスが増えることがあります。
特に日本からの海外旅行は、乗継失敗や荷物トラブルが旅程全体に響きやすいです。
そこでこの章では、補償や振替まで含めて「後悔しない選び方」をまとめます。
結果的に、安心感の高い便は“トラブル耐性”も高いことが多いです。
定時運航・欠航のしやすさは「乗継の難易度」とセットで考える
遅延はどの航空会社でも起こり得るため、ゼロにするより“影響を小さくする”設計が大事です。
乗継があるなら、最短接続に寄せず、余裕のある乗継時間にするだけで失敗率が下がります。
深夜到着や早朝出発は代替便が少ないことがあるため、旅慣れないほど避けると安心です。
安全面の不安がある区間は、なおさら乗継を単純化し、主要ハブでの接続に寄せましょう。
コードシェア混在は「手荷物規定」と「振替の責任」を先に確認する
コードシェア便では、チェックインカウンターや機内サービスが運航会社側になることがあります。
手荷物の無料枠や重量が会社ごとに違うと、乗継地点で追加料金が発生することがあります。
遅延・欠航時にどこへ連絡するかも、販売会社と運航会社で窓口が分かれる場合があります。
予約前に、運航会社の手荷物規定と、購入元のサポート範囲を確認しておくと安心です。
連絡手段の確保が“詰み”を防ぐ
トラブル時に最も困るのは、空港で連絡先が分からず立ち尽くすことです。
購入元(航空会社公式・旅行会社・OTA)ごとに、緊急連絡先や変更手順が違います。
予約完了メールと、運航会社の予約管理ページ(Manage Booking)への導線は保存しておきましょう。
日本語サポートが必要な人は、最初から日本語窓口が明確な販売元を選ぶのが堅実です。
保険とクレジットカード付帯で「最悪」を小さくする
安全面の不安が強い旅程ほど、欠航・遅延・乗継失敗の出費が大きくなりがちです。
旅行保険やカード付帯の補償は、精神的な安心にもつながります。
特に乗継がある旅は、遅延でホテルが必要になるケースがあるため、補償条件を確認しましょう。
最後は“情報+備え”のセットで、リスクを現実的なサイズに抑えるのがコツです。
| ありがちなトラブル | その場でやること | 事前に効く予防策 |
|---|---|---|
| 乗継失敗 | 購入元/運航会社の窓口へ直行 | 乗継時間に余裕を持つ |
| 手荷物超過 | 規定を確認して再計量 | 運航会社の規定で統一確認 |
| 欠航 | 代替便の提示を受ける | 主要ハブ・代替便が多い時間帯 |
| 連絡不能 | 予約管理ページを開く | 連絡先・予約番号を保存 |
実際に使えるテンプレ:航空会社を選ぶ5分チェック表(日本版)
最後に、判断を迷わせる情報を切り落として、選ぶためのチェック表に落とし込みます。
「会社名で断罪」ではなく、「確認できる条件で回避」するのが日本の旅行者にとって実用的です。
旅行の目的が観光でも出張でも、同じ表で判断できます。
チェックが多すぎると続かないので、最短で効く項目に絞りました。
5分チェック表(予約前)
まずは運航会社を確定し、EUの運航禁止・制限の有無を確認します。
次に国の監督評価(IASA/USOAP)を補助線として見て、不安が強いなら代替便へ寄せます。
最後にIOSA登録など、比較の安心材料を見て候補を絞ります。
この順番にすると、強い根拠から先に確認でき、判断がブレにくくなります。
5分チェック表(当日・空港)
当日は、搭乗案内や電光掲示板で運航会社表示を再確認します。
コードシェアの場合、カウンターが運航会社側になることがあるので、並ぶ列を間違えないようにします。
不安が残る場合は、空港のスタッフに「この便の運航会社はどこか」を確認してから手続きを進めましょう。
当日チェックで“情報のズレ”を潰すだけでも、安心感は大きく変わります。
迷ったときの最終ルール(初心者・家族旅行向け)
迷ったら「直行便」「主要ハブ経由」「大手同盟・大手販売元」を優先すると失敗が減ります。
不安を感じる要素(不透明な運航会社、極端な乗継、深夜帯の代替便の少なさ)は一つずつ削ります。
安全面の確信が持てない便は、多少高くても別便に変える方が旅行全体の満足度が上がりやすいです。
リスクをゼロにするより、“不安を説明できる状態”にして選ぶのが現実的です。
| チェック項目 | OKの目安 | NGならどうする? |
|---|---|---|
| 運航会社が明記されている | operated by が確認できる | 購入先を変えて再確認 |
| EU運航禁止・制限の対象外 | Annex A/B に該当しない | 代替便へ変更 |
| 国の監督評価で大きな不安なし | IASA/USOAPで重大懸念が少ない | 監督圏の違う会社へ |
| 旅程が単純 | 乗継少・余裕あり | 乗継時間/経路を見直す |
| トラブル時の窓口が明確 | 連絡先・手順が分かる | 公式/大手購入へ切替 |
まとめ
乗ってはいけない航空会社リストを日本で探すときは、まず“会社名の断罪”から離れるのが近道です。
EUの運航禁止・制限、国の監督評価、IOSA登録、そして運航会社の透明性という「確認できる情報」を軸にしましょう。
特にコードシェア便は、販売会社ではなく運航会社で照合しないと判断がズレます。
安全面の不安が残る旅程ほど、直行便・主要ハブ・余裕ある乗継・明確な補償で“詰み”を避ける設計が効きます。
本記事のチェック表を使って、短時間で納得できる選択に落とし込んでください。

