国際線に乗るときの保安検査――「どの荷物をトレーに出せばいいのか分からない」「検査で止められてしまうか不安」という声は少なくありません。
本記事では、ノートパソコンや液体、衣類、ポケットの中身など、国際線の手荷物検査で実際に「トレーに出すべきもの」をわかりやすく整理。
初めての利用者から旅慣れた人まで、スムーズに検査を通過するための準備と心構えをお伝えします。
国際線の手荷物検査で「トレーに出すべきもの」とは?
国際線の搭乗前、保安検査場で「何をトレーに出せばいいのか?」と迷ったことがある人は多いはずです。
鞄やポケットの中身、液体類、衣類など、飛行機に乗るために安全を確保するためのチェックは空港によって厳しいルールがあります。
本節では、なぜトレーに出す必要があるのか、そして典型的に出すべきものの代表例を詳しく解説します。
なぜトレーに出す必要があるのか
保安検査では、手荷物と搭乗者の所持品に危険物が含まれていないかをX線装置などでチェックします。
鞄の中に入れたままでは中身が重なりあって正しく映らないことがあり、検査効率や安全性の観点から、パソコン・液体・上着などは一旦「トレー」に出すことが求められます。
また、多数の乗客が安全に機内に乗り込むため、世界各国で一貫した手荷物検査の手順が取られており、「トレー出し」はその基本動作のひとつです。
「トレーに出すもの」の代表例とは
以下は保安検査でトレーに出すことが一般的な代表的アイテムです:
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 液体・ジェル・スプレー類 | 化粧水、シャンプー、飲料、ソースなど(100ml以下で透明ジッパー袋に入れたもの) |
| 電子機器 | ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなど |
| 上着・ジャケット | コート、ジャケット、パーカーなどのアウター |
| 鞄・ハンドバッグ | 手荷物全般をX線に通すために出す場合あり |
これらを事前に分けておくことで、検査がスムーズになり、係員の指示にも迷わず従いやすくなります。
国際線ならではの注意点 — 液体物の制限とは
国際線では、液体・ジェル・スプレー類の持ち込みに厳しい制限があります。基本的に、機内持ち込みできる液体類は「1容器あたり100ml 以下」で、「全ての容器を透明で再封可能なプラスチック袋(容量 1L 以下)」に収める必要があります。
たとえ実際の中身の量が少なくても、容器のサイズが 100 ml を超えていたり、透明袋に入っていなかったりすると持ち込みが不可となり、検査時に没収されるケースがあります。
さらに、免税店で購入した液体などは、保安検査後に渡される特別なセキュリティバッグ(STEB)に入れて管理されるため、乗り継ぎや同行条件によっては再検査の対象となる場合があります。
空港や航空会社でルールが異なる可能性について
保安検査の詳細ルールは、空港や航空会社、さらに渡航先によって異なることがあります。たとえば、液体の扱いや電子機器の取り扱い、再確認の厳しさなどは場所により差があるため事前確認が重要です。
また、安全規定や国際的なルールの変更により、過去は問題なかった持ち物でも没収対象になる可能性があるため、出発前に公式サイトや航空会社の案内を確認することをおすすめします。
乗り継ぎ便での再検査への備え
国際線で乗り継ぎがある場合、一度セキュリティを通過しても、経由地で再度検査を受けることがあります。その際、再びトレー出しが求められる可能性があるため、持ち物の管理やパッキングに注意が必要です。
特に液体やゼリー状のもの、スプレー、化粧品などは乗り継ぎ空港でルールが異なるケースもあるので、透明ジッパー袋への収納や容器の容量確認を怠らないようにしましょう。
検査でお断りされやすいアイテム/よくある失敗例
よくある失敗として、以下のようなケースが挙げられます:
- 液体類を 100ml を超える容器で持ち込んだ → 保安検査で没収された。
- 透明ジッパー袋に入れずにバッグに入れたまま通そうとした → 再検査や没収の対象に。
- 電子機器をバッグから出さずにそのまま検査を受けた → X線で正しく判別できず、係員から取り出しを指示された。
- 上着やコートを脱がず通過した → 金属探知機にひっかかり、追加のボディチェックとなった。
これらはすべて、出発前の準備があれば防げるミスばかりです。検査に慣れていない人や、旅行が久しぶりの人ほど、事前チェックを徹底することで余裕ある旅を実現できます。
ノートパソコン・タブレット・スマホなど電子機器の取り扱い
国際線の保安検査では、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンといった電子機器は、かばんから取り出してトレーに乗せるよう案内されるのが一般的です。
検査効率を高め、安全性を確保するための重要なプロセスです。このセクションでは、電子機器をトレーに出す理由や注意点、そして破損を防ぐためのコツについて詳しく解説します。
電子機器はなぜトレーに出すのか
空港のX線検査では、荷物の中にある電子機器が他の物と重なっていると、内部のアイテムが正しく映らず見落としの原因になることがあります。
特にノートパソコンやタブレットはバッテリーや重い金属部品を含むため、密度が高く“影”となって他の荷物を覆ってしまいやすいのです。各国の保安機関は、このような“死角”を減らすため、電子機器を手荷物から出して単独でスキャンすることを求めています。
この方法により、画面上で機器内部だけでなく、バッグの中の他のアイテムまで鮮明に確認でき、安全対策として有効とされています。
ノートパソコン・タブレット・スマホの扱い方のポイント
検査の際は、電子機器がバッグの中にあると、他の持ち物の確認が難しくなることがあります。そのため、ノートパソコンやタブレット、場合によってはスマホも専用トレーに単独で置く指示が出ることがあります。
バッグから取り出すタイミングとしては、保安検査の直前がベストです。事前に機器を出しておくことで焦らず対応でき、スムーズに流れに乗れます。
また、鞄の中で他の荷物とごちゃ混ぜにしないよう、電子機器用ポケットがあるバッグや仕切りのあるケースを使うと便利です。これにより、検査後の再収納も簡単になります。
モバイルバッテリーや充電器など付属品の注意点
ノートパソコンやタブレットだけでなく、モバイルバッテリーや充電器、ケーブル類などの付属品も注意が必要です。これらは電子機器と同様に、密度が高く、他の荷物と重なってしまうと検査の妨げになる可能性があります。
空港によっては、モバイルバッテリーは“液体や危険物”と同様に慎重な扱いが求められる場合もあるため、必ずバッグの中から取り出しておくか、別のトレーにまとめるようにしましょう。
また、充電器やケーブルは絡まりやすいため、ゴチャゴチャした状態で出すと X 線で識別しづらく、再チェックや中身確認を求められる可能性があります。紐やバンドでまとめておくのが安全です。
電子機器を壊さず安全に通すための梱包/持ち込みのコツ
まず、ノートパソコンやタブレットは専用のスリーブやクッション付きケースに入れて持ち運ぶのが基本です。こうすることで、検査場での取り出しや再収納の際にも落下やぶつけを防げます。
また、バッグに余裕を持たせて電子機器と他の荷物を分けることで、出し入れがスムーズになり、破損リスクも減らせます。
さらに、充電器やケーブルなどの小物は小さなポーチや仕切りのあるポケットにまとめておくと便利です。検査後に探し回る手間も減り、搭乗前のストレスも軽くなります。
なお、一般的な空港の X 線装置では電子機器を傷めるような強い放射線は使われておらず、ノートパソコンやスマホが壊れたという報告は少ないとされています。ただし、念のためバックアップやデータ保管は普段から心がけておくと安心です。
ポケットの中身・金属類・貴重品(財布・鍵・アクセサリーなど)も忘れずに
空港の保安検査で意外と忘れがちなのが、ポケットや身につけている金属類、そして財布や鍵といった“普段持ち歩いている物”。
これらをそのまま通過しようとすると、金属探知機が反応したり、再検査で時間を取られることがあります。
本節では、検査前にチェックしておきたい持ち物と、なぜそれらをトレーに出すべきかを詳しく紹介します。
ポケットの中身をチェックすべき理由
ポケットに入れた小物類は、金属探知機やX線装置で検査を受ける際、想定外の反応を引き起こす可能性があります。特に鍵や硬貨、小さな金属製品は探知機に引っかかりやすく、保安検査が止まってしまう原因となります。
そのため、検査前にはポケットを空にして、すべての中身をバッグかトレーに移しておくと、スムーズな通過につながります。
また、ポケットに入れたままだと検査後に取り忘れるケースもあるため、荷物管理の意味でも事前の確認が重要です。
財布・鍵・ベルト・アクセサリーなどの金属類リスト
保安検査でトレーに出すことが推奨される主な金属類には、以下のようなものがあります:
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 財布・小銭入れ | 紙幣・硬貨、小銭入れ付き財布など |
| 鍵類 | 家や車の鍵、キーケースなど |
| ベルト | 特に金属バックル付きベルト |
| アクセサリー | ネックレス、指輪、ブレスレット、時計、ピアスなど |
| その他小物 | 金属製の飾り付きアイテム、ヘアピン、金属製の小工具など |
これらは、金属の有無や量によっては金属探知機に反応しやすく、検査で引っかかりやすいアイテムです。
金属類をポケットに入れたまま通すリスク
金属探知機のゲートを金属類を着けたまま通ると、アラームが鳴ってしまい、追加の手荷物チェックやボディチェックを受ける可能性があります。こうしたトラブルは、時間のロスだけでなく、他の乗客にも迷惑をかけることがあり得ます。
たとえ小さな金属であっても、複数重なれば反応しやすくなるため、「これは大丈夫だろう」と過信せず、あらかじめ外しておくのが安全です。
また、検査後にポケットを確認し忘れ、鍵や財布を紛失する事例も報告されており、検査前と後の持ち物チェックは忘れず行いたいところです。
小銭入れ・コイン・ICカードなどの “見落としがち” アイテム
財布だけでなく、小銭入れや硬貨、ICカード、電子マネーカードなども注意が必要です。特に硬貨は金属探知機に引っかかりやすく、またカード類はX線で確認される可能性があるため、トレーに出すのが安全です。
さらに、キーケースに家や車の鍵をまとめていると、その束自体が大きな金属の塊となり、探知機に反応しやすくなります。こうした構成のものは、ポケットのままではなくバッグかトレーに移すようにしましょう。
また、旅行中はパスポートや搭乗券、スマートフォンなどと一緒に、あらかじめ「ポケット中身用ポーチ」や「小物入れ」を用意しておくと、検査時と搭乗後の忘れ物防止につながり便利です。
衣類・靴・その他「身体につけているもの」の検査準備
飛行機に乗る前の保安検査では、手荷物だけでなく、身につけている衣類や靴、ベルト、アクセサリーなどもチェック対象になります。
特に国際線では安全性が厳しく見られ、上着やブーツ、金属の装飾がある靴などは専用トレーに出すよう求められることが多いです。
ここでは、検査をスムーズかつ安全に通過するための準備方法と具体的な注意ポイントを解説します。
上着・コート・ジャケットは脱ぐべきか
多くの空港では、コートやジャケットといった上着は検査の際に脱ぎ、トレーに乗せるよう求められます。上着を脱ぐことで、体の輪郭に隠れた危険物や禁制品がないかをしっかり確認できるようになるためです。
また、厚手のコートやパーカー、フード付きの服などは、金属や硬い留め具が付いている可能性があるため、より丁寧な検査対象となることがあります。こうした服を着ている場合は、あらかじめ脱ぐ準備をしておくことが望ましいでしょう。
脱いだ上着はトレーに入れることで、そのままバッグに入れたまま通すよりも安全かつスムーズに手荷物検査を完了できます。検査後の再着用を考慮して、脱ぎやすい服、羽織りものを選ぶのが賢明です。
靴・ブーツなど履き物の扱い方 — 厚底靴や金属装飾のある靴は要注意
靴も検査対象になるケースが多く、特に安全靴、厚底靴、ブーツ、足首を覆うタイプの靴などはX線検査や履き替えを求められることがあります。
金属装飾が多かったり、厚底で靴底が重厚な靴は、金属探知機やスキャナーで反応しやすく、引っかかる原因になりやすいため注意が必要です。
そのため、空港に向かう際は、できるだけ脱ぎ履きのしやすい靴、そして装飾や金属が少ないタイプの靴を選ぶのがおすすめです。もしブーツなどを履いている場合は、脱ぎやすいよう靴ひもやベルトを緩めておくとよいでしょう。
帽子・ベルト・アクセサリー・コートのポケット類も対象に
上着だけでなく、帽子やベルト、ネックレスや時計などのアクセサリーも、金属探知やボディスキャンの対象になることが多いです。検査効率を上げるために、これらはあらかじめ外しておくのが基本です。
また、コートやジャケットのポケットに入れていた物(スマートフォン、手帳、パスポート、ペンなど)も、荷物と一緒にトレーや手荷物に移すようにしましょう。不意の金属反応や検査遅延を避けるためです。
特に大きめのベルトバックルや金属製の装飾がある服を着用していると、金属探知機に反応しやすいため、検査のたびに外す習慣をつけておくとスムーズです。
寒い季節・多層服装時の脱ぎ着のコツ
冬場や寒冷地への渡航では、上着の下に重ね着をしていることが多いため、脱ぎ着で手間取ると検査が遅れがちです。検査時の手間を減らすには、あらかじめ上着の下に薄手の服を着る、脱ぎやすい羽織ものを選ぶと良いでしょう。
また、脱いだ上着を入れるトレーには余裕があるよう、手荷物をコンパクトにまとめておくのもポイントです。荷物が多すぎると、他の乗客の妨げになり、さらに時間がかかることがあります。
さらに、もしブーツや厚底靴を履いているなら、検査場で脱ぎやすいように靴ひもを緩めたり、インソールを取り外したりするなどの事前準備をしておくと、スムーズな流れが期待できます。
スムーズ通過のための “準備と心構え” 〜チェック前にやっておくと便利なこと〜
国際線での手荷物検査をスムーズに通過するには、事前の準備と心構えが大きく影響します。出発前から持ち物や服装を整え、検査場で迷わないよう段取りを決めておくことで、列で焦ったり、見落としによる再検査を避けられます。このセクションでは、チェック前にやっておくと役立つコツと、乗継ぎや帰国時も見越した準備ポイントを紹介します。
出国前の持ち物チェックリストを作っておく
まずは出発前に、自分が持ち込む荷物を一覧にしておくことが非常に効果的です。
パスポート、チケット、液体類、電子機器、貴重品など、チェック対象になるものを“持ち忘れ/入れ忘れ”がないようにリスト化しましょう。これにより、直前の慌ただしさで何かを忘れてしまうリスクを減らせます。
また、バッグやポケットに入れる予定のものを一度空にしてから再整理する「空バッグ」状態で荷造りする方法も有効です。これは手荷物を過剰に詰め込まず、検査時に不要な第二チェックを防ぐための基本です。
さらに、出発前夜や当日朝に最終チェックを行い、「液体は100 ml 以下か」「金属類・ベルト・アクセサリーはどうか」「電子機器の出し入れ準備ができているか」などを確認しておくと、空港での不安を減らせます。こうした “習慣” が、スムーズな保安検査につながります。
手荷物の詰め方・トレーの準備のコツ
手荷物を整理する際は、「すぐ取り出す可能性のあるもの」を上部または取り出しやすい場所に入れておくと便利です。
特に電子機器や液体、貴重品などは、X線検査で別トレーを要求されやすいため、上着や鞄の奥深くにしまい込まないようにしましょう。
また、荷物をぎゅうぎゅうに詰めず、余裕をもたせておくことで、検査員が X 線で内容を確認しやすくなり、再検査の可能性を下げられます。荷物内部が整理されていると、保安検査全体の流れも速くなります。
さらに、液体類や小さなアイテムは透明の再封可能な袋や小さなポーチを使ってまとめておくと便利です。これにより、トレーへの出し入れがスムーズになり、他の乗客の邪魔になりにくくなります。
係員の指示に迷わないようにするための心構え
空港の保安検査では、国や施設によって多少流れやルールが異なる場合があります。そのため、係員の指示にはよく耳を傾け、柔軟に対応する心構えが大切です。急いでいても、安全確認の一環としての検査であることを理解しておきましょう。
また、パスポートや搭乗券、身分証明書など必要書類はすぐ取り出せる場所に入れておくと、検査後の流れもスムーズになります。特に国際線では、検査後に入国審査や搭乗口への移動があるため、手間取らないよう準備しておくと安心です。
さらに、荷物を受け取った後やトレーを返却するときなど、検査後の行動にも配慮を。落ち着いて行動し、回りの人の流れを妨げないようにすることで、次の人のためにもスムーズさを保てます。
乗り継ぎ便・帰国時も考えた “保安検査の再確認ポイント”
国際線で乗り継ぎがある場合、到着地で再び保安検査を受ける可能性があります。そのため、最初の出発時だけでなく、乗り継ぎ先や帰国時も同じように荷物の整理や露出品の確認を忘れないようにしましょう。
特に液体類や免税品などは、乗り継ぎ空港でルールが異なることもあるため、透明な袋に入れておく、分かりやすい場所に入れておくなどの対策が有効です。また、電子機器や貴重品は機内持ち込みか手荷物として、常に身近に置いておくと安心です。
さらに、時間に余裕を持って空港に到着するよう計画するのも重要です。国際線では、出発の少なくとも数時間前に到着することで、検査や搭乗準備に余裕が生まれ、乗り継ぎミスや搭乗忘れのリスクを減らせます。
まとめ
本記事では、「どの荷物をトレーに出すべきか」を項目ごとに整理し、保安検査の流れや注意点を詳しく解説しました。電子機器、液体物、金属類、衣類・靴など、検査対象となるものを事前に把握しておくことで、検査場での手間やストレスを大幅に減らせます。
さらに、搭乗前に持ち物チェックや荷物の整理、服装の選び方など準備を怠らなければ、スムーズな通過が期待できます。また、乗り継ぎ便や帰国時にも同じ注意が必要な点を踏まえておくと安心です。
初めて国際線に乗る人も、旅慣れている人も、本記事を参考に「何を」「どう準備すべきか」をチェックリスト代わりに使っていただければ、安心で快適な旅のスタートにつながるはずです。
